我が社は、淡路瓦400年という節目を向かえ、先代から世代交代を期に、平成22年4月6日をもって「道上正製瓦所」から「株式会社マルアサ」に社名変更をしました。
先代の後を受け継ぎ、4代目としてイメージを一新し、新たな“マルアサ”としてよりいっそう社業に努めて行きたいと思います。
昨今、伝統と名の付く「モノづくり」産業は大変な時代を迎えています。
商品がメーカーごとの個性を失い、消費者にとっては商品の選択基準が販売価格しかない状態の中、
時代の波に浮き沈みを繰り返してきた日本瓦も同様です。
時代がどうであれ、様々な技術、技法がしっかり受け継がれてきましたが、それでも明らかな「日本瓦」の衰退。
時代のせいにしては始まりませんが、辛うじて国民が日本の屋根と言えば「日本瓦」を思い浮かべるという認識と知名度、ブランドが残っている今だからこそ、しなければならないこと、伝えなければならないことがあります。
まずは、これからの日本のものづくりには、ブランドをいかに構築するかが、何よりも大切であります。
そのためには、今までと同じように、ただ一生懸命だけではいけません。
「最高のものを創ろう」と、いつもこの言葉を心に持ち続けて一生懸命仕事をしていますが、「最高のもの」とは、目に見えない細部にまで完璧に仕上げる技術は当たり前の事で、忘れてはいけないのが、消費者の方にとって『心地良いもの』。その『心地良さ』とは造り手の顔や、心・魂のあるモノづくりの姿勢・その『様(サマ)』が五感のどこかに感じさせる物だと私は考えます。
そのような造り手の『様(サマ)』を商品への機能へ、日本のモノづくり、日本のブランドへと評価に加えて頂ける様に日々邁進しております。
そのマルアサブランド構築にあたり、コンセプトとして『粧(よそおう)』という漢字1文字を掲げ、
『単なるメイキャップでなく、内面の美しさ・内なる美を引き出すもの"装い"は"粧い"』
というメッセージを込めました。
既成概念にとらわれず、違った切り口で瓦を新しい視点から捉え、又、新しい意味付けを与え表現する事をテーマとし、これからの瓦師・瓦屋はこだわりある商品の物語を含め、どのように世の中とコミュニケーションしていくか伝え方が勝負だと思います。
瓦を屋根材としての“モノ”として考えるのではなく、そこに携わる人と人との繋がりであり、技術・経験・感性・誇り・伝統などと言ったすべてに繋がるプロセス“コト”であると考え、日本の景観、街づくりという観点からも淡路瓦ブランドを産地全体で形成ていくにあたり、弊社も、一人ひとりの持つ深い知恵と豊かな感性を磨きながら、今後ともあらゆる可能性に挑戦していきます。
私たち、マルアサに、今後も一層のご期待とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
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H22.7
株式会社マルアサ
代表取締役社長 道上 浩行 |
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